歯周病と関係する全身の病気

【最終更新日:2019年10月13日】

歯周病菌とは

歯周病の原因菌は1種類ではなく、いくつかの細菌が歯周病を引き起こします。
歯周病菌の種類は800種類を超えると言われています。
これらの菌は嫌気性菌と言って酸素が苦手で、歯と歯ぐきの間にできた溝(歯周ポケット)の中に生息しています。
歯周炎になっている溝では、その中に住んでいる細菌の75%が歯周病菌を含むグラム陰性嫌気性桿菌(かんきん)です。
歯周病は歯周病菌の感染によって起こりますが、どこから感染するのかまだわかっていません。

口の中が不潔になりミュータンス菌がグルカンというネバネバした物質(プラーク)を作り歯に付着し始めると、細菌にとって住みやすい環境になります。
プラークが増殖し、歯に接している歯肉に炎症が起こると、歯肉からは目には見えないほどの出血が始まります。歯周病菌は血液や浸出液を栄養源としているので、それまでの数万倍まで一気に数が増えます。
そして、歯と歯肉の間の溝をどんどん深くしていきます。これが「歯周ポケット」です。
歯周ポケットが深くなると歯周ポケットの奥では、酸素が減ってきます。
歯周病菌は酸素が苦手なので、酸素が少なくなればさらに増殖します。

「歯周病」には「歯肉炎」と「歯周炎」が含まれます。
「歯肉炎」は単に歯肉の炎症です。
「歯周炎」とは、炎症により歯周組織の「付着」が喪失している場合です。
「付着の喪失」というのは、歯と歯周組織をつないでいる部分が壊れていることです。
歯周病菌に対抗して、人間の免疫機能は体を守ろうとして歯周病菌を攻撃します。しかしその結果、骨を破壊してしまいます。そして歯を支えている歯槽骨(しそうこつ)が吸収されていきます。

自分で自分の骨を破壊する病気、それが、歯周病です。

「歯周病」というと歯だけの病気だと思われがちですが、歯周病が全身の健康にも影響を及ぼすことがあります。

口の中には700種類以上の細菌が棲みついています。歯の周りには、唾液や歯と歯肉の間から出ている浸出液を栄養源として細菌が層状になった「バイオフィルム」を作って存在しています。
これらの細菌が出す老廃物によって、歯と歯ぐきの間の組織が破壊されます。細菌から体を守るために白血球などが集まり、細菌と戦います。この結果、さらに歯周組織が破壊されて重症の歯周病に進行します。
歯ぐきの炎症が持続すると、体の他の臓器に悪い影響を及ぼします。

 

動脈硬化と脳梗塞

歯肉の炎症が進行すると、細菌が血液中に侵入する頻度が多くなります。
また、病原菌を排除するために防御細胞から出される物質が血液中に流れ込むと他の臓器にも作用します。
この結果、歯周病による心臓疾患の危険率は1.5倍、心臓疾患による死亡危険率は1.9倍、脳梗塞の危険率は2.8倍になります。

 

早産・低体重出産

歯周病によって炎症性物質が産生されると、これらは分娩にも関わる物質なので、その影響で早産となります。
また、歯周病原菌が血中に入り、子宮などに直接感染を起こし、早産に至ります。
2007年の歯周病と早産・低体重児出産に関する17の論文を用いた研究では、歯周病の早産・低体重児出産に対する危険率は2.83倍、早産に対する危険率は2.27倍、低体重児出産に対する危険率は4.03倍になります。

 

糖尿病

肥満でなくても、重度の歯周病はインスリン抵抗性を起こさせ、糖尿病を悪化させます。

 

関節リウマチ

歯周病のような口の中の感染症は、異常な免疫反応を起こして、離れた臓器である関節の破壊を起こします。

歯周病と言われたら?

このように、歯周病は命にも関わる病気なのですが、日本人が歯を抜く原因のトップは歯周病であると言われています。

これはつまり歯周病を治療できる歯医者が非常に少ないということを意味しています。

歯医者さんに問い合わせてみると、ほとんどの歯科医院で「歯周病の治療をやっています」という返事があると思います。

そういった歯医者にかかった人の多くが歯を失っている現実に気付いてください。

実際に歯周病をきちんと治療できる歯医者はごくわずかです。

もしあなたが歯周病だと診断されたら、歯周病の専門医を受診することをお勧めします。

歯周病の専門医を探すには、下記の日本歯周病学会公式サイトで見つけられます。

日本歯周病学会 認定医・歯周病専門医一覧